半減期の長いセシウムでの放射性障害のため
福島第一原発の放射性物質漏れ事故の数日後に、防衛省が、特殊な薬を緊急輸入したそうだ。
Image: Fillmore Photographyこれは、「ラディオガルダーゼ」という名前の、放射性セシウム除去薬で、自衛隊員や現場の作業員のためのものだという。
半減期が8日と短く、もともとヨウ素を含んだ海藻類を食べている日本人にとって、放射性ヨウ素は影響が少ないが、セシウムは違う。半減期も30年と長く、体に取り込まれやすいため、基準値以上の量を吸込むと、重い放射線障害を起こすためだ。
前出の薬は、日本では、昨年暮れに承認・販売が始まったものだが、今回は手持ちが足りず、日本のメーカーがドイツから輸入したとのこと。
以下は、この薬の輸入・販売を手がける日本メジフィックス社の担当者の話だ。
「セシウムは、体に入ると、腸と胆嚢(たんのう)を行ったり来たりする性質があります。’ラディオガルダーゼ’は、腸にでてきたセシウムを捕まえて、便と一緒に排出するのです。こうした事故がなければ、まず知られることのない薬ですが、話を聞きつけた一般のお客さんから、手に入らないかといった問い合わせがかなりありました」
同社では、入手方法や値段など、一切答えていないそう。
個人購入は必要か
東京女子医大の三橋紀夫教授によると
「’ラディオガルダーゼ’は、あくまでも大量のセシウムを取りこんでしまった人が服用するもの。その量は300ミリシーベルト以下では効果がないとされています。この薬を扱う病院も特殊だし、医師も慣れていないといけない。心配だといって一般の人が処方してもらえるものではありません。だから値段も公表しないのでしょう。」
ということだ。
ただ、それでも手に入れたい場合は、インターネットで個人で買うことは可能なようだ。1日3回・1回6錠服用が必要で、1箱30錠入りで1万5000円前後だそうだが、本当に必要かどうか、冷静に考えなくても安くないことは明白だ。
(参考:週刊新潮5月5・12日ゴールデンウィーク特大号)
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