よーく考えよう
目前のクリスマスが終われば、次は年末・年始、と、行事が立て続けにやってくるこの時期、ちまたにあふれる、芸能人やセレブによるオスミツキのダイエットのDVDなど、つい手が出てしまいそうなのはやまやまだが、こういった商品が売れて得をするのは誰だろう。また、買う価値はあるのだろうか。
イギリスのBDA(栄養士会)は、メディアから、ダイエットの情報について、大げさでなく、何百本という電話がかかってくるとのことで、中には奇抜で、時には危険を伴うものも非常に多いそうだ。今回はそれらのうちでも、ここ最近、セレブによって広められたダイエットで、BDAが警鐘を鳴らしているような’イミフ(意味不明)’なものを、いくつかあげてみる。
Image: colindunnマジですか?! なダイエット5連
◆1.血液型ダイエット
イギリスのテレビのパーソナリティーであり、歌手でもある、シェリル・コールのお気に入りだといわれている。彼女は、イギリスで最もセクシーな女性に選ばれたこともある。
このダイエットは’血液型により、栄養素を破壊する食物が異なるため、摂取してよいものと悪いものがある’ というものだが、まったく科学的な根拠のなく、不完全な部分があるとのこと。
以下に、このダイエット法をあげてみる。
A型-乳製品は摂取しない。ベジタリアンベースの食事
B型-食品の摂取に制限が少なく、全血液型の中ではゆいいつ、乳製品を受け付けることが可能
AB型-A型とB型を組み合わせた摂取法が求められる(乳製品の摂取に関して、矛盾する)
O型-肉類を多くとることが必要。乳製品や麦、穀類は摂取しない(「アトキンスダイエット(低炭水化物ダイエット)」のことと思われる)
このダイエット法に対する、BDAの見解は次の通りだ。
「ひどすぎる!! 医学的アドバイスや、栄養士の指導もなしで食物の摂取をカットするなんてありえないこと。このダイエット法だと、カルシウムの著しい不足などを引き起こしかねません。カロリーをあまりにも取り入れないために、体重が減っているだけです。」
◆2.メープルシロップダイエット
イギリスのファッションモデルである、ナオミ・キャンベルのお気に入りだといわれている。
メープルシロップに、レモン果汁と水、そして、代謝を大幅に上げるといわれるカイエンペッパー(カイエンヌペッパー:トウガラシの一種)を入れ、1回250mlを、1日に、最高で9回まで飲むもの。こうすることで、1日当たり、600キロカロリー減少するそう。
このダイエット法に対しても、BDAは、以下のように否定的だ。
「危険な上に、何よりつまらないでしょう。それに、このダイエット法では、プロテインや繊維質、ビタミン、ミネラルなどが摂取できず心配です。カロリーがほとんどとれないようなダイエットは、医者の管理下で行われなければいけません。また、このダイエット法は、意識もぼんやりしてしまい、日々の活動に影響がでてしまいます。」
◆3.キャベツスープまたは脂肪燃焼ダイエット
アメリカの女優であるサラ・ミッシェル・ゲラーのお気に入りだといわれている。
本来、食べ物が’脂肪を燃やす’なんていうことはないとのことで、そこからして謎だそう。このダイエット法も、科学的な根拠はなく、個人の家庭で食べていたキャベツのスープの延長かなにかで始まったようなものではないだろうか、とのことだ。
このダイエット法については、BDAは次のように述べている。
「栄養的にも不足しており、とても賛成はできません!このダイエット法で痩せたとしたら、それは水分が排出されただけですし、やはりこれも、カロリーが足りなすぎます。それに、これでは食事の時間がいやになってしまうでしょう。いい加減、死にたいのかと思ってしまいます。」
◆4.ベビーフードダイエット
アメリカの女優であるジェニファー・アニストンのお気に入りだといわれている。
このダイエット法では、毎日、最大14瓶のベビーフードを食べるか、1食を通常の食事にし、あとはベビーフードで済ませる、あるいは、おやつの代わりにベビーフードを食べる、などの方法を食事とするそうです。
ここまでくると、BDAもあきれたようで、以下のコメントが返ってきた。
「いい加減にしなさい! このダイエット法は、食事量の制限を目的にしますが、もうお分かりの通り ― ベビーフード1瓶なんて、とてもじゃないけれど、カロリーが足りないんです。それに、果物と野菜が入っているといっても、裏ごしされていて繊維もかみごたえもありません。食べ物をかむということは、満腹感や満足感にかかわってくるため、瓶の食べ物ではなく、リンゴや人参など、普通の食物が大切になるわけです。」
◆5.デュカンダイエット
イギリス人で、モデルや歌手でもあるキャサリン・ジェンキンスがのお気に入りだといわれている。
前回の記事でもお伝えしたダイエット法である。プロテインのみの摂取から始め、その後は食品と組み合わせた内容を、4段階に分けて行うダイエット。この方法だと、1週間で3kg程度痩せることもよくある、といわれるそう。
すでに、BDAのほおが紅潮している様子が目に浮かぶようだ。
「ありえない!! 食事制限やカロリー制限の上に、食事の量までも減らすなんて、科学的にまともなものとは思えません。いいですか、食事を断つなんていうことはいけない。このダイエット法では、多くの人たちが間違いやすいんです。それに、内容はほとんどプロテインダイエットで、口臭の問題が出るのはいうまでもないことで、アトキンス・ダイエット(低炭水化物ダイエット)とよく似て危険です。」
Image: admillerやせたい人は食べなさい
ここにあげたダイエット法や、他の流ってはすたるダイエットについて、BDAの広報であるサイアン・ポーター氏は、以下のように結論づけている。
「悲しいかな、栄養や健康のリスクがまったくない、魔法のようなダイエット法はなく、短期決戦の結果、問題が出てしまうのがよくあるパターンです。もうおわかりでしょうが、痩せたければ、栄養バランスを考えて適量を食べ、消費カロリーを増やすのがいいでしょう。要するに、摂取カロリーを減らし、からだによいものをきちんと食べ、運動量を増やす、ということです。」
2011年もまた、ハリウッドのセレブ発で、奇妙なダイエットが
流るのだろうか。
編集部 松田鞠
www.horseandcountry.tv(英語)