非常時後のベビーラッシュというできごと
1965年、ニューヨークを中心に、アメリカ北東部でおきた大停電では、3000万人が闇夜を経験し、その270日後に、ベビーラッシュが発生したといわれている。
Image: gregoryrallen 2005年、アメリカ南部が、ハリケーン「カトリーナ」に襲われた後も、同様だったと説明するのは、動物研究家の竹内久美子氏だ。
不安や怖さが生む希望
通常とは違う、非常時の不安状態が、ある種の興奮をうむのではないかとのことで、この興奮を、異性へのときめきと解釈しているのかもしれないそう。そして、この理論を、アクション映画『スピード』(94年米)にあてはめ、主演のキアヌ・リーブスとサンドラ・ブロックが、極限状態で恋愛感情を持つ状態にあったためと説明する。
竹内氏は、この状況が、動物行動学的にも確認できていることだと、以下のように述べている。
「人間の女性は、一定の周期で排卵をする’自然排卵’ですが、ほ乳類の中には、ネコやラッコのように、メスが成功時に噛まれたりして、痛みを感じることが引き金となって、排卵を誘発する’交尾排卵’の動物が、数多くいます。非常時を受けての出産ラッシュは、交尾排卵の名残(なごり)からか、大きな不安や恐怖が刺激となって、予定外の排卵が起きたからとしか考えられません」
不安なときだからこそ、子孫を残そうとする本能なのだろうか。今回のような、未曾有の震災後、出産ラッシュが起きても不思議はなさそうだ。
(参考:週刊ポスト4月22日号)
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