憎まれっ子、腹(はら)にはばかる
ひと昔前まで、「肥満型の女性は、脂肪が骨を守るため、骨粗鬆症にかかるリスクが低い」と信じられていたそうだ。だが、最近の、北米放射線医学会(RSNA)の研究で、お腹の過剰な内臓脂肪が、骨にダメージを与えるリスクがあることが判明したと「EmpowHER」が報じている。
Image: markhillary研究は、閉経前の、BMI指数(身長と体重の割合を示す体格指数)が30前後(標準とされる数値)の女性50人で行われた。
ところで、脂肪は、以下のように分類される。
●皮下脂肪 ― 皮膚の下につく脂肪で、身体を前にたおすと、お腹で波打つもの。
●内臓脂肪 ― 腹部内部の、肝臓など、臓器につく脂肪。筋肉部分や、心臓にもつく。この種類の脂肪は、痩せていてもつく。
食事もトレーニングも’人生はバランス’
最近の研究では、太ったり痩せたりを繰り返すことで、内臓脂肪が増えることが確認されているそうだ。また、心臓疾患(しっかん)や癌(がん)にかかるリスクも、上がることがあるという。
そこで、今回の研究結果を受け、この記事を執筆したマーク・ディルワース氏が対抗策を提案している。マークは、運動トレーナーの資格を持つ、元NCAA(全米体育協会)のアスリートである。
その策とは、栄養バランスのとれた食事をとり、ウエイトトレーニングを含んだ、体全体の筋肉を使ったトレーニングや、心肺機能をあげるトレーニングを取り入れる、ということだ。このメニューだと、皮下脂肪および、内臓脂肪のどちらにも効果があり、筋力や持久力、心肺機能の強化と、骨にも好影響をあたえるのだという。
また、今回の研究リーダーであり、マサチューセッツ総合病院での放射線技術者や、ハーバードメディカルスクールの助教授も務めるブレデラ氏が、結果について、次のように述べている。
「お腹の内臓脂肪は、他のただの脂肪や、腰回りの脂肪にくらべ、危険なものだということがわかりました。お腹の余分なぜい肉により、骨がスカスカになったり、心臓病や糖尿病のリスクの一因になるということを、皆さんに理解して欲しいんです」
編集部 松田鞠
empowher.com北米放射線医学会(RSNA)